家の周りを飛ぶハチを見つけ、慌てて「ミツバチの駆除」を考える前に、まず立ち止まって、そのハチが本当にミツバチなのかを正確に確認することが何よりも重要です。なぜなら、ハチの種類によって、その危険度と対処法は全く異なるからです。特に、攻撃性の高いアシナガバチやスズメバチとミツバチを間違えて、安易に近づくことは非常に危険です。まず、「ミツバチ」の特徴は、全体的に丸っこく、ずんぐりとした体型で、黄色と黒の縞模様の体に細かい毛がたくさん生えていることです。体長は一センチ強。性格は比較的おとなしく、こちらから刺激しない限り、人を襲ってくることは稀です。巣は、平らな板状の巣盤が何枚も垂れ下がった形をしており、屋根裏や床下といった閉鎖的な空間に作られることが多いです。次に、「アシナガバチ」です。その名の通り、細身の体に長い後ろ脚を持ち、飛ぶ際にはその脚をだらりと垂らしているのが特徴的です。体長は二センチ前後。ミツバチに比べると攻撃性はやや高いですが、巣を直接刺激しなければ、比較的おとなしいとされています。巣は、シャワーヘッドを逆さにしたような、灰色のお椀型で、軒下やベランダなど、開放的な場所に作られます。最後に、最も警戒すべき「スズメバチ」です。体長は二センチから四センチと大型で、がっしりとした体つきをしています。オレンジや黄色の模様が特徴的で、攻撃性は非常に高く、巣に近づくだけで威嚇・攻撃してきます。巣は、初期はとっくりを逆さにしたような形ですが、大きくなると球状のマーブル模様になります。これらの特徴をまとめると、**「丸っこくて毛深いのがミツバチ」「細くて足が長いのがアシナガバチ」「大きくて威圧感があるのがスズメバチ」**と覚えると良いでしょう。もし、見つけたハチがスズメバチであった場合は、絶対に自分で駆除しようとせず、速やかに専門の駆除業者に連絡してください。正しい見極めこそが、安全を確保するための第一歩なのです。