庭先やベランダなどで、シャワーヘッドのような形をしたアシナガバチの巣を見つけた時、「スズメバチほど危険ではないと聞くし、放っておいても大丈夫かな?」と考える人がいます。確かに、アシナガバチはスズメバチに比べて性格が比較的おとなしく、こちらから刺激を与えなければ、いきなり襲ってくることは少ない蜂です。また、庭の毛虫などを捕食してくれる益虫としての一面も持っています。しかし、だからといって巣を放置することが常に安全とは限りません。アシナガバチの巣を放置するかどうかの判断は、巣の場所と家族構成を考慮して慎重に行うべきです。例えば、人の出入りが全くないような、家の奥まった場所にある小さな巣であれば、秋になって蜂がいなくなるまで静かに見守るという選択肢もあるかもしれません。しかし、玄関先やベランダ、洗濯物を干す場所の近くなど、日常生活で人が頻繁に通る場所に巣がある場合は、話が別です。たとえおとなしいアシナガバチでも、巣に危険が迫っていると判断すれば、防衛のために攻撃してきます。洗濯物の振動や、ドアの開閉、子供の遊び声などが意図せず蜂を刺激し、刺されてしまうリスクが常に付きまといます。特に、小さな子供やペットがいるご家庭では、予期せぬ行動で蜂を刺激してしまう可能性が高いため、巣を放置するのは非常に危険です。また、アシナガバチの毒はスズメバチほど強くはありませんが、アレルギー体質の人が刺されるとアナフィラキシーショックを起こす危険性は十分にあります。巣は夏に向けてどんどん大きくなり、蜂の数も数十匹に増えていきます。巣が大きくなってからでは駆除も大変になります。生活動線上に巣ができてしまった場合は、益虫だからと放置するリスクの方が高いと判断し、巣がまだ小さいうちに専門の業者に相談して、安全に駆除してもらうのが賢明な判断と言えるでしょう。