大切に育てている植物に無残な食害の痕跡を見つけた時、私たちはつい、その場で目についた生き物を犯人だと断定してしまいがちです。湿った地面にいるキセルガイは、しばしば第一容疑者として扱われますが、多くの場合、彼らはえん罪です。ここでは、庭の食害事件の真犯人を探るための、捜査のポイントをご紹介します。まず、被害に遭った植物とその周辺を注意深く観察します。チェックすべきポイントは「食害痕の特徴」と「遺留品」です。葉にキラキラと光る筋が残っていませんか?これは、犯人が移動した際に残した粘液の乾燥した跡です。この動かぬ証拠が示している真犯人は、「ナメクジ」または「カタツムリ」です。彼らは夜行性のため日中に姿を見ることは稀ですが、この特徴的な這い跡を残していきます。キセルガイは、このような銀色の筋を残しません。次に、葉の裏や株元の地面をよく見てください。直径一ミリ程度の緑色や黒色の小さなコロコロとしたフンがたくさん落ちていませんか?このフンこそが、犯人を特定する決定的な証拠です。この事件の犯人は、「アオムシ」や「ヨトウムシ」といったガの幼虫(いわゆる芋虫)である可能性が濃厚です。特にヨトウムシは夜行性で、日中は土の中に潜っているため発見が難しいですが、このフンを見つければ、彼らの存在を確信できます。キセルガイは、このような固形のフンを排出することはありません。日中の捜査で犯人が特定できない場合、夜間に捜査範囲を広げます。ナメクジ、カタツムリ、そして「夜盗虫」の異名を持つヨトウムシは、夜行性です。日没後、懐中電灯を片手に被害現場を訪れてみてください。昼間は影も形もなかった犯人たちが、まさに食事の真っ最中である現場を押さえることができるでしょう。これらの捜査を通じて、真犯人を特定すること。それが、的確な対策を立て、庭の平和を取り戻すための第一歩です。キセルガイを疑うその前に、まずは冷静な科学捜査を試みてはいかがでしょうか。