数ある蜂の中でも、スズメバチは最強の攻撃性と最凶の毒を持つ、最も危険な存在です。もし自宅の周辺でスズメバチの巣らしきものを見つけてしまったら、それは単なる虫の巣ではなく、極めて危険な「爆弾」が設置されているのと同じだと認識してください。絶対に、興味本位で近づいたり、自分で何とかしようとしたりしてはいけません。スズメバチがこれほどまでに危険視される理由は、その強力な防衛本能にあります。彼らは巣に近づくものを外敵とみなし、巣を守るために容赦なく集団で襲い掛かってきます。特に、巣から数メートルの範囲は「警戒ゾーン」とされ、この中に侵入すると、偵察蜂が「カチカチ」という威嚇音を立てながらまとわりついてきます。これは「これ以上近づくな」という最後の警告です。この警告を無視してさらに近づくと、蜂は警戒フェロモンを放出し、それを合図に巣の中にいる仲間が一斉に攻撃態勢に入ります。スズメバチの毒針は、一度刺しても体から抜けず、何度も繰り返し刺すことができます。そして、その毒には仲間を興奮させる警報フェロモンが含まれているため、一匹に刺されると、他の蜂も次々と襲ってくるという悪循環に陥ります。さらに恐ろしいのが、アナフィラキシーショックです。一度蜂に刺されたことがある人が、二度目に刺されると、体内で過剰なアレルギー反応が起こり、血圧低下や呼吸困難を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。スズメバチの巣は、初期段階ではとっくりのような形をしていますが、最盛期には直径50センチを超える巨大な球体になることもあります。巣が大きければ大きいほど、中の働き蜂の数も数百から千匹以上と増え、危険度は飛躍的に増大します。スズメバチの巣を見つけたら、静かに、速やかにその場を離れ、屋内などの安全な場所に避難してください。そして、一刻も早く専門の駆除業者に連絡すること。それが、あなたと家族の命を守るための唯一の正しい行動です。