「マンションの高層階に住んでいれば、ゴキブリは上がってこれないだろう」と、多くの人が安心しがちです。確かに、地上から何十メートルも壁をよじ登ってくるゴキブリは稀でしょう。しかし、残念ながら、たとえ10階や20階であっても、ゴキブリが室内に出現する可能性はゼロではありません。では、彼らは一体どこから入ってくるのでしょうか。高層マンションにおけるゴキブリの侵入経路は、低層階の住宅とは少し異なる特徴があります。最も警戒すべきなのは、建物全体に張り巡らされた「配管」や「配線」のルートです。キッチンや洗面所、お風呂の排水管、ガス管、電気配線などが通っているパイプスペースは、建物の1階から最上階まで縦に貫通しています。この暗くて湿った空間は、ゴキブリにとって絶好の移動通路、まさにゴキブリ専用エレベーターのようなものです。下の階で発生したゴキブリが、このパイプスペースを伝って壁の中を移動し、あなたの部屋のシンク下や洗面台下の配管と壁の隙間から「こんにちは」と顔を出すのです。また、エレベーターも彼らの移動手段となり得ます。人の荷物や台車などに紛れ込んでエレベーターに乗り込み、目的の階で降りて、ドアが開いた瞬間に廊下へと侵入します。そして、玄関ドアの下のわずかな隙間から室内へと忍び込みます。さらに、隣や上下の部屋のベランダから飛来するケースも考えられます。クロゴキブリは飛翔能力が高く、数メートル程度なら滑空することができます。隣のベランダで発生したゴキブリが、あなたの部屋の窓が開いている隙に飛び込んでくることも十分にあり得るのです。高層階だからと油断は禁物です。排水管周りの隙間をパテで埋める、玄関ドアに隙間テープを貼るなど、地上と同じように侵入経路を塞ぐ対策を徹底することが、天空の城をゴキブリから守るための鍵となります。
マンションの高層階なのにゴキブリはどこから来るの?