部屋の隅やキッチンで、茶色くて小さな虫が素早く動くのを見かけたことはありませんか。「なんだ、小さな虫か」と、つい見過ごしてしまいがちですが、その正体はもしかしたらゴキブリの幼体かもしれません。成虫のゴキブリはその黒光りする大きな体からすぐに判別できますが、孵化したばかりの幼体は数ミリ程度の大きさで、他の虫と見間違えることも少なくありません。しかし、この一匹の幼体を見過ごすことは、後々あなたの家をゴキブリの巣窟にしてしまう、非常に危険なサインなのです。ゴキブリの幼体は、成虫になるまでに何度も脱皮を繰り返しながら成長します。その姿は種類によって異なりますが、日本でよく見られるクロゴキブリの幼体は、最初は白っぽい色をしており、脱皮を重ねるごとに黒っぽく、そして背中に白い線や斑点模様が現れるのが特徴です. 一方、飲食店などで問題になるチャバネゴキブリの幼体は、全体的に黄褐色で、背中に黒い二本の線が入っています。もしあなたが見かけた小さな虫がこれらの特徴に当てはまるなら、それはほぼ間違いなくゴキブリの幼体です。そして、最も恐ろしいのは、幼体がそこに一匹いるということは、近くに卵鞘(らんしょう)と呼ばれる卵のカプセルがあり、そこから数十匹の仲間が同時に孵化した可能性が非常に高いという事実です。つまり、見えない場所には、まだ発見されていない多数の幼体が潜んでいると考えなければなりません。ゴキブリの幼体は成虫に比べて体が小さいため、ほんのわずかな隙間にも侵入し、隠れることができます。彼らは暗く、暖かく、湿気の多い場所を好み、餌となる食べこぼしやホコリを求めて家中を徘徊します。この小さな脅威を発見したら、決して油断せず、本格的な対策を始めるべき時なのです。